小さな政府による福祉国家?
政治家の相次ぐ年金未加入問題がマスコミで論じられている。
いまや、きちんと納入した議員を探す方が困難のようにも思える。
年金改革法案を通そうとする与党側、それを廃案に追い込みたい野党側、双方ともに多数の「未納兄弟」が存在し、それが政局の駆け引きとなっていることで、議会は茶番劇と化している。
当初、こうした情報を代替的に報道してきたマスコミ自体も、ウンザリしてきている。
こうした茶番国会が、図らずも国民の年金問題への関心を高めると同時に、現行制度の不備を浮き彫りにしたのは、皮肉と言えるが、今後、どのような政治的処方箋が考えられるだろうか。
小生はこうした問題は不勉強であるが、さしあたり以下のようなシナリオが予測される。
(1)年金制度を一本化し、複雑な制度を簡素化すると同時に、「未納」の権利(日本版401K)を認めること。
「未納」の認定によって予想される富裕層の年金制度からのescapeは税によって補完すること。
(2)年金受給人口を支える就労人口を確保するための、国外からの就労者の増大。
その居住権・市民権承認と、租税徴収・年金加入(未加入)のパッケージ
(3)年金を含めた個人情報のデジタル管理化(いわゆる国民総背番号制)
納付実績・給付予測の把握の明瞭化、管理・徴収コストの削減
「安定した福祉国家」を目標におくならば、(3)は認めざるを得ないかもしれない。
「理念」や「正義」ではなく、「小さな政府」によって「管理された」「グローバルな」福祉国家のリニューアル。
それがポスト福祉国家を担うものなのだろうか。
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