シュトラウスの 秘教主義(エソテリシズム)について
シュトラウスの秘教主義(エソテリシズム)についての要約
参照文献:飯島昇蔵「レオ・シュトラウス――テクスト解釈の課題と方法」小笠原弘親・飯島昇蔵(編)『政治思想史の方法』早稲田大学出版部、1990年、45--83頁.
(1) シュトラウスの秘教的教義・解釈への関心は、イスラム哲学者ファーラービーのプラトン解釈に多くを負っていること。それによれば、哲学的叙述の手法としてのエソテリシズムは、プラトンの独創であり、誤謬に満ちた社会で妥協的な生を選ぶか、それとも非妥協的な死を選ぶかという選択(=ソクラテス裁判状況)に対する哲学者の自己保存的対応であること。
(2) 哲学者は(1)の状況において、曖昧でときに矛盾した形で二重のメッセージを叙述していること。つまりそこには、社会において有益な「公教的」exotericな意味と、社会的価値観と対立する真の教えとしての「秘教的」esotericな意味が込められていること。
そして、注意深い読み手のみが後者の意味を理解することができること。
(3) その「秘教的」解釈の事例としては、(a)著者による故意の矛盾、(b)引用に込められた意味、(c)沈黙による語り、などが挙げられること。
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