「政治学」に何ができるか(1)――国家と個人の自足性(アウタルケイア)という問題
・人は一人では生きていけない。人が生活するのに必要な物資・サービスが確保され、それが一時的な利害関係ではなく恒常的な信頼関係に支えられた状態。アリストテレスはそれを「自足性(アウタルケイア)」と呼び、ポリス(国家=社会)がその実現単位であるとした。人は生活のために家庭(オイコス)を形成し、それが集まり村となり、さらに集合してポリスとなる。このように人が物質的・精神的な充足を得るためにコミュニティ(群れ)を必要とし、それが(単なる人為的な約束事ではなく)自然本性に根ざしていることは、有名な「ポリス的動物」という言葉で表現されている。
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